父が語る、デイサービスでの業務改革の軌跡

アレグロペンギンの原点は父が経営するデイサービスでの業務改革でした。
その父に業務支援システムKotobukiについてインタビューしてみました。

 

独自のサービスでご家族にとっても無理のない介護生活を

おんせんケア の理念や事業内容を教えてください。

温泉を使って人の幸せを支えたい、という思いを軸に、デイサービスやお泊まりサービス、居宅介護支援事業所を展開しています。
ご利用者様だけでなく、ご家族や働いていくれるスタッフの幸せを考えています。

 

汎用のソフトを導入しようと試みたが…

–開発をはじめる前は、どのような課題がありましたか?

エクセルや手書きのメモを使って、デイサービスの業務をやりくりしていました。

エクセルから印刷した紙にその日のご利用者さんの体温や血圧といったバイタル情報、出来事などを手書きでみんなで記入し、1日が終わったときに、その情報をエクセルのシートに書き写して、日々の記録を管理していました。

そのようなやり方では、リアルタイムな情報共有が気軽に確認できなかったり、情報の検索が困難で、書類の作成も転記作業が多く生じていました。

汎用のソフトをこれまで導入しようとしたことはありましたが、自分たちには必要のない余計な項目が多く、書類ひとつ作るにも分量が多くなってしまったり、入力がしにくく、自分たちに適したものはないな、と感じていました。

では内製で作った仕組みはどうかというと、書類のテンプレートをエクセルで作成するくらいが精一杯でした。

 

ひとりで要件を整理し開発するのは難しいのでは

–Kotobukiの構想を聞いたとき、どのように感じましたか?

データベースを使ったKotobukiの構想を聞いたときは、

「そういうことができれば良いけど、開発するのはかなりのパワーがいるのではないか」

「データベースに落とし込むために整理するのは難しいんじゃないか」

と感じていました。

しかし、FileMakerの無料試用期間45日の間に利用者マスタやケアマネマスタなどがすでに出来上がっており、利用者マスタの詳細画面から基本情報だけでなく、ご家族やケアマネージャーさん、利用曜日といった情報が一目でわかるというところまで出来上がっていたので、

「ここまで作ったなら引き続き開発を続けてもらおう」と思いました。

(利用者マスタの内容は全てダミーです)

 

デイサービスでの介護の記録と介護保険がうまく繋がった

–実際にシステムが稼働してから、どのような効果がありましたか?

一度メモに起こしたりせず、スタッフのみんながそのまま情報をKotobukiに入れてくれるようになったので、即時性が高まっています。

書類の作成が楽になったり、ご利用者さんのご利用予定などの把握が正確にできるようになったことだけでなく、ご家族やケアマネージャーさんとの関係づくりにも役に立っていると思います。

例えばデイでのご様子から病院の受診を勧めるといったご提案をするにも、ちょっとしたことに気づくかどうか、ということが重要です。

シフト制で働いている職員も多いため、自分がいなかった時の情報を補完することが必要ですが、Kotobukiで気軽に確認できるので、気づきの機会が増えていると思います。

そのように情報を外部に発信するための動線がKotobukiで整備されました。

もうひとつ副次的な効果としては、Kotobukiで入力したことをslackで通知できる機能があり、その兼ね合いでslackのようなITツールを自然とみんなが取り入れる文化が生まれた、ということです。

 

–Kotobukiをどう思いますか?

最初に想像していたものよりも、ずいぶん良いです。

私たちの業務の流れの中で、必要な情報が必要なタイミングで表示されています。

特に、実績の確認をするための画面を見ると、サービスコードや加算といった計算の結果と実際のご利用の様子を自分の中でリンクでき、ひとつひとつの情報に納得しながら、実感を伴った作業ができます。

間違った請求をしてしまうとかなりその後処理が大変ですが、この仕組みはそういったエラーを限りなく0にしてくれていると思います。 精神的に安心でストレスが減りました。

各会社ごとに適したシステムができれば価値は高いと思います。

FileMakerで作られていることは意識せずとも活用できている

-FileMakerをどう思いますか?

Kotobukiを使うときに、これがFileMakerで作られたものであると意識することはないので、正直なところよくわかりません。 ユーザー自身も学んでいくと、高度な検索ができるのかな、と思っています。

Kotobukiのような仕組みを一人で構築できるというのは、良いシステムなんだろうと思います。

(画像に表示されている利用者名はダミーです)

 

–父親としてはアレグロペンギンの活動をどう思いますか?

一気に集中していつの間にか何かを作り上げている、というようなことが子供の頃からあって、幼稚園で親からの評価を聞かれたときにも、創造性がある、と回答したことを覚えています。

人からの意見を抽象化するようなことも得意だと思うので、そうした特性がシステム開発やコンサルティングに向いているんじゃないでしょうか。

そういった特性を伸ばしながら価値を高め、気楽に、ちょうど良い規模で頑張って欲しいです。

 

 【インタビューを終えて】

私の思いつきで半ば強引に始まったシステム開発でしたが、開発を始めてから5年以上が経ち、組織に根付いていることを嬉しく思います。

Kotobukiのようなシステム開発する際、システムも業務に組み込まれる人格のひとつのように捉え、運用中のシステムとユーザーさんの会話を想定しながら設計しています。

今回、業務の中で必要な情報が必要なときに表示されている、情報の見せ方によってストレスが減っている、との声を聞くことができ、会話がうまくいっているようで嬉しいです。

介護業界はコロナの影響で大きなダメージを受けていますが、デイサービスの利用により、元気に生活できている利用者さんがたくさんいます。
Kotobukiもデイサービスの運営・経営を助けることで、ご利用者様やご家族に貢献できればと思います。

 

 

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