株式会社サポータス主催のセミナー”さぽらぼ”で登壇致しました。

株式会社サポータスの佐々木様よりTwitterでDMいただきまして、”介護とFileMakerということで話してもらえないか?”とセミナー登壇を依頼していただきました。

FileMakerの使い所やUIUXのお話も交えながら、10分ほどお話しました。

▼お話した内容はこんなところです。

 

FileMakerで介護現場の業務改善に取り組んでみて、かなりFileMakerと介護は相性が良いと感じました。

介護現場でIT化が進まない理由

  • 介護事業が画一的では立ち行かなくなっている

    まず、これは構造的な問題で、介護保険の制度によるところです。
    2000年に介護保険という制度が始まって、40歳以上のひとがお給料から介護保険料を徴収されていますよね。
    そのお金を使って、”介護認定”を受けた人が、介護を受けることができます。
    介護認定で”あなたはどのくらい介護が必要か”を判定され、そのランクに応じたサービスを受けることができます。
    このルールが3年に一度改訂されています。
    介護事業所としては、自分が提供しているサービスが自分の事業に都合の良い改訂かそうじゃないかが、会社の存続が関わる問題になっています。
    だから、介護事業をやっていくには、介護報酬だけじゃなくて、他の収入の柱、独自のサービスを展開していく必要があると思っています。

    そうなると、ますます既存のパッケージやSaaSではちょっと無理が生じるということになってしまいます。

  • 介護報酬の請求が大変で、そちらの機能がメインになっている

    介護保険制度自体がまだシステムとして成熟していないんですね。
    この20年でローカルルールがたくさんできていて、介護請求ソフトはそれを追いかけるので大変そうです。
    ですから、1番フロントの現場の方のためのシステムはちょっと別で考える必要があります。

    Kotobukiは請求業務とは分離したシステムになっていますが、ローカルルールを考慮した上で、サービス実績からサービスコードや加算減算を計算し、実績報告や請求の申請も簡単できるようにはしてます。
    それが計算できているから、売上も予定の段階からおおよそ見込みがわかるようになっています。

     

  • 介護現場のITリテラシーの低さ

    ITリテラシーが高い業界だったら、UIUXに気を使わなくてもシステム化する重要性を考慮した上で使ってくれるかもしれませんが、介護の現場の方はまずIT化する意味や価値をあまり評価してくれません。
    ちょっとした操作性の悪さで使ってもらえない、データがたまらない、ということになってしまいます。
    普段からスマホやPCの操作に慣れていない人も多く、気持ちの問題もあり、なかなか難しいです。

    こういう背景から、FileMakerでオーダーメイドに近い形でのシステムが介護業界にはちょうど良いのではないかと考えています。

 

FileMakerの特徴

  • データモデリングが自由

    他のノーコードを使ってみたのですが、データモデリングの補助があるものとそうでないものがあるようです。
    FileMakerはサンプルやテンプレートはあるものの、基本的には開発する人が1からデータモデリングを行います。
    だから、全く新しいビジネスのためのシステムを作ることもできるし、独自のサービスにも対応したシステムを作ることができます。
    逆にいうと、データモデリングができないと、FileMakerの開発はかなり難しいと思います。

  • インターフェイスがGUI ⇨書類作成にも向いている

    書類の作成が多く発生する現場にFileMakerは向いていると思います。
    介護は特に書類が多いのですが、すごい手間がかかっていそうな書類がボタンひとつで作成できるようにしているので、助かっています。
    データがたまるかどうか、UI UXでかなり左右されるので、さっとUIが作れて変更できるところも良いです。

  • 社内システムにとても向いている

    ライセンスもユーザー企業ごとのインスタンスが基本なので、社内システムに向いています。
    特に、使うだけではなくて開発できる環境というところの価値がライセンスにはついているので、システム内製が1番FileMakerのライセンスをコスパよく使う方法になっています。

    他サービスとの連携やWebDirectなどにより一部情報は社外に出すことができます。

    インターフェイスがGUIで、社内システムにとても向いている
    ということは、UI UXデザインを考えた業務システムの開発に向いているといえると思います。

    ※こちらをぜひご参照ください▶︎https://qiita.com/gokkozemisei/items/b40bc095828c7b94ca71

    業務システム、社内システムというと、記録中心、データ中心のシステム開発になりがちですが、
    実は業務システムこそUI UXデザイン次第で時間のロスが減ったり、データがよくたまるようになります。
    データは経営の武器になりますから、そこに投資する価値はあると思います。

  • Apple子会社なので、iOSとの相性◎

    立ち仕事の現場ではipadがとても相性良いです。
    ご利用者さんに署名をもらったり、写真を撮ったり…
    ということがFileMakerの標準機能でできるので、この点も良いですね。

介護だけではなくて、これからのビジネスにぴったり
・大量生産・大量消費の時代は終わり
・椅子取りゲームがしんどくなっている
・差別化できるニッチな会社 小さい会社が台頭する時代

FileMakerの開発は、大規模なものやwebサービスみたいなopenなものは向いていないけど、
中小企業の社内システムでマッチするとすごい効果を発揮します。

先ほど介護業界も画一的なビジネスモデルでは立ち行かないと話しましたが、他の業界でもそうかなと思います。
人口が減っているので、他の会社と同じものを作って同じようなビジネスモデルで競争に参加するのは本当にしんどいと思います。

個人の価値観としても、定年という概念がなくなっていて、一生ひとつの会社に勤めるという働き方だけではなくて、自分で会社を作ったり、複数の会社に参加したり…というところにシフトしていっているように感じます。
コロナウイルスきっかけでも働き方だったり、仕事に対する価値観も変わってきていますよね。

そんなところで、小回りのきく会社、他とは全く違うビジネスをこれから多くの人が考えて生きているんじゃないかな、と思います。
そういう場面で、業務オペレーションをITありきで設計していくと良いですよね。
そのソリューションのひとつとしてFileMakerがあるのではないかと思います。